学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

281)共依存体質は、教員の病休などと関係がある気がしました。どう思われますか?

私は、自分も共依存体質ではないか?と思っていて、自己洞察などが怖くて避けていました。

しかし、自分の生き方を決めたい(すでに決めているものもありますが)、教員は献身的で頑張っているのに、なぜこんなに病気休暇で倒れていくのか知りたい、そんな思いから、何らかのヒントが得たいと図書館の本に答えを求めることにしました。

答えはこの本にあるか!?

【図書館で本を手にとる】
他人の価値観に振り回されない。

模範的な生き方など、実際にできる訳がないから、自己啓発本は無駄だ。

自分をラベリングして、類型化などしたくないから心理学は見たくない。

そうやって逃げてきましたが、図書館のOPAC(図書館の蔵書検索)で「共依存(きょういぞん)」と入力してみました。

やや関係ないものも含まれていましたが、ありました。
一番無難そうな本が。
情報過多になると疲れてくるので、一冊だけ選びました。

メロディ・ビーティ(2011)「共依存症 心のレッスン」、講談社 

ここには、心理テストや共依存症の本質などが具体的に書かれていました。
そうして、この本から、これまで出会った何人かの病休に入った教員に、この本質にあてはまるような人がいたと気づかされました。
ちなみに、自分も多分にその傾向がありました。

【共依存の本質】
この本によると、「自分をなおざりにして他人の世話をするのは、共依存症の特徴だ。自分をないがしろにする理由はたくさんある。だが、自分をないがしろにする理由よりも、今すぐ自分の面倒をみることのほうが重要だ。」pp.057

あなたのためよ、あなたのためよ

作業療法士も、学校の教員も「誰かのために役に立つ」ということを考える対人の職業です。
作業療法士は鉄の精神を持っているという訳ではないですが、教員よりも病休で倒れたという話は聞きません。

一体この差は何なのでしょう?

私は、作業療法士について
・リハをする40分限定の人間関係であること。
・精神医学について学んでいること
・医療者と患者という人間関係を意識してかかわること
・科学(治療に対する)が情念より先にたっていること。
が大きな違いだと感じました。

リハ、あと20分…だわ。

みなさんはどう感じられるでしょうか?

【教員は共依存的体質ではないか?】
更に、本書では「世話することで空虚な心を満たし、自分の生活がないという気持ちを埋め合わせる。世話することで空虚な心を満たし、自分の生活がないという気持ちを埋め合わせる。世話することで、劣等感を覆い隠し、人との結びつきを見いだす。」

「世話をすることで、あたかも人々が自分に依存しているように見えるのだ。」
まさに、これにあてはまる人が教員に、いかに多いことか。

・人のためにしてあげる、という気持ちが近年報われないことで心の代償(報酬)が得られずに枯渇しているのではないか
・してあげることで見返りが得られている(満たされている)人は、「その人が人生から何かを学ぶ機会を奪う」ことから、他人が学ぶ機会や達成感、自己実現が得られる機会を奪っているかもしれません。
・してあげることで見返りが得られている(満たされている)人は、見返りが自分を酷使したうえでの産物であっても、一度得られた報酬が手放せず、ずっと無理し続けることも考えられます。

今更、止めるなんて…できない

【例えば】
・夜遅くまで教材研究をして、自宅に帰っても授業のことを考える。
・子どものためと、自分の家庭を顧みず学校に行ってしまう。
・「子どものため」というキーワードで振られた仕事が断れない。
・学校と子どもの世界と、自分のプライベートな時間の切り替えができていない。
・子どもや保護者の気持ち取り込み過ぎて、自分のエネルギーが枯渇していく。

こういう人が、よく病休にはいっている気がしていて、外見上、まじめでいい人が多いようです。
そうして、これらは美徳であり、教師の鏡のように扱われて、そこから抜け出せないような雰囲気が多分にあると感じています。

本書でメロディ氏は「自分の面倒をみる方法がよく分からないときは、他人と同じように自分を扱おう。すすれば、大抵の人はうまくやれるだろう。」と書いていました。

そのためにも、働き方改革などを手掛かりに、自分を取り戻していくことが望ましいと思います。
私ははっきり言語化できませんでしたが、これに類する気づきがあったので救われました。

仕事のかかわりを通して、ここから解放してあげるのも「学校作業療法」の役割の1つではないか、そんな気がしています。


https://magomago1.org/280schoolteachercommentsatapublicplace202011/
前回は、「280)特別支援学校で勤務する教員(OTもち)が講習会などで講師をするとき」でした。公務員が外で何かするときは手続きを怠ってはいけないのです。

https://magomago1.org/282whatistheconditionscoachingrihabiristudents202011/
次回は、「282)作業療法の臨床実習の指導ができる人の要件」について書きました。実習を受ける立場になる人は多いけれど、指導する側はどんな条件をクリアしないとなれないか、のぞいてみませんか?