フィリピンと介護・医療にかかわる人材になりたいと考えています。
学校教育もまた「知る・学ぶ」だけでなく、伝える技術を習得する1つとして役立っています。
とにかくフィリピンの情報だけでなく、アジアの情報が欲しいと図書館で本を借り、ネットサーフィンを継続しているところです。
そんななかで、パク・スックチャ(2011)が「アジアで稼ぐ『アジア人材』になれ!」のなかで興味深いエピソードをいろいろ語ってくれていました。
今回はそれを参考にしながら書きすすめていくことにします。
【特別支援教育に参画しようとする日本の作業療法士の愚痴】
「こうすれば、教員とコミュニケーションがとれます、でも学校文化が難しくてね…。」
などと愚痴りながら、学校で支援する対象はこどもでなく、教員だと意識できるようになってきた傾向は好ましいものとして見ています。
いくら技士がこどもに対してこんなことをしたいと思っても、実施する教員が受け入れなければ絵に描いた餅になってしまいます。
学校文化は組織運営のなかで、役割のなかで発生したもので、不安をあおるブラックボックスではなく、把握できれば対応できる「特性」だといえます。
その特性を、作業療法士は理由も含めてキャッチできているかといえば、まだできていないと思っています。
【相手を知ることで相手の文化を知り、ニードを把握する】
パクが言うには、サムスンという会社は、売り込みをしたい国に社員を派遣し、1年間その国の言葉、歴史、生活様式、価値観などの、あらゆる文化を吸収するために過ごすことを仕事にしたそうです。そうして、そこから得た情報をもとに、相手が求めるサービスの形を追求したそうです。
LG電子も相手の国の文化を知り、それに合った商品を開発して、日本の製品を脇におしやってしまいました。例えば、メッカフォンという携帯電話はイスラムの人たちが行う礼拝時間(1日5回)を知らせ、礼拝する方角までを示すことができました。
また、デング熱に苦しむインドネシアには超音波で蚊を撃退するエアコンを売り出して、大ヒットになりました。
それに比べて日本は、日本で売れたから質も保証済みだし、売れるに違いないと販売しましたが、なかなか売れませんでした。
なぜなら、外国の家屋にマッチしなかったからです。
【日本の作業療法も同じ】
日本の作業療法も同じだと思います。
病院などに勤務して役割を果たし、それなりの成果もあげ、研究も行ってきました。
しかし、特別支援教育になると、かみ合わないことがいまだに多い。
なぜなら、医療分野でやってきたことが学校の役に立つという思い込みだけでなく、本当に相手が何を求めているか、何を考えながら過ごしているか、本音を理解しようと懐に飛び込めていないからです。
学校の見学をした、外部専門家として学校に入っている、だから学校のことはだいぶ理解しているつもり…ですが、その人はあくまで外部の人で、お客様です。
お客様に日常抱えている問題や、本音をさらけ出すまでの信頼は得られるでしょうか。
組織の特性を把握して、それをふまえた問題解決の手順がイメージできるでしょうか。
学校の事情を理解してくれない人に、困難な悩みを打ち明けたりするでしょうか。
私は無理だと思います。
【学校文化を理解し、使いこなす
日常生活を改善することを本気でやりたければ、作業療法士は根を下ろすくらい、学校の組織の中に入り込むべきです。
そうして、外から見ていて「変なことをしている」と思っていたことの意味が分かったり、こんなこともしているのかと仕事の多様さに驚いたりして欲しいです。
それにより、じっくり戦略を練って問題を解決する難しさと楽しさを、全国に100人程度しかいない学校作業療法士と同様に感じて欲しいと願っています。
https://magomago1.org/289everyweekmakeschedule202011/
前回は、「289)学校の先生が作っている「週案(しゅうあん)」から見る組織の特性」でした。無駄な仕事と考えるか、それはそれで意味があると考えるか、難しいところです。
https://magomago1.org/291teacherssalalyishighornot202011/
次回は、「291)公立学校教員の給料って、高いか?安いか?」です。どのような価値づけがされて決まっているのか考えてみました。