各教室には、内側からかけられる鍵があります。
それは、不審者対策で内側から鍵をかけ、目隠しをして、静かにして待機するという防犯上の配慮もあります。しかし、通常は「鍵をかける=軟禁状態」になり、人権侵害にあたるとして、学校としてかけてはいけないとされていました。
学級経営上、通常ならそれでもいいのですが、学級にいる児童・生徒と、教員の事情によりかけざるを得ない場合もでてきます。
【ある学級の例】
走ることができ、扉を開けて外にでようとする生徒が2名(転倒・転落リスクあり)
体調観察のため、常時目の届くところに教員がいなければならない生徒が1名
それぞれ、ADL含め、学習活動上中等度の介助を必要としています。
それを、学級担任1人で指導(たまに2人になる)することになっています。
どうしますか?
【運用】
1人について指導や介助をしている間、もう1人には「やっと身についてきた1人課題」や「好きなこと」をしてもらいます。それでも、隙をついて教室から飛び出していきます。
「この時、鍵をかけます」
さて、これは人権侵害でしょうか?
ルール、人権への配慮上を重視する:鍵はかけない
安全への配慮を重視する:鍵をかける
【困っていること】
ルールを守るなら鍵はかけませんが、介助や支援を要する複数の生徒を同時にみているので、個別指導で対応することが常態化すると、目と手をかけられない生徒が必ずでてくる。
安全を確保するなら鍵をかけることがありますが、上司に理解がなく、「人権侵害をしている」と責められると打つ手がなくなる。
⇒教員が自分の仕事に対して、自己矛盾をかかえるようになります。
【どうしたか】
私は鍵をかけました。
そうしないと生徒の安全が保てないからです。
そうして、事故が起きると結果論で、謝罪をすることになるのが確定するからです。
指導するうえで、このクラスは1人でみることは無理だ、と言っても教員定数は決まっており、増員されないことは分かっているので言うことに意味がありません。
他の学級と連携・協力しましょう、と言われますが、元々どの学級も人数がなく、人を割こうにも割けないことが常でした。
遊出(ゆうしゅつ)や閉じこもり、排せつ介助等があったときは担任をその生徒につけ、他の学級が担任不在の生徒を抱え込んで授業を運営することになり、常に何らかのリスクを抱えていました。
上司には、「この学級を1人でどう指導すればいいんですか?」と反論すると、黙り込んでしまって逃げました。そうして、「ただ、ルールに則ってください」と機械のように繰り返すだけでした。
このような指導体制の不足・不備は自治体や学校や校種によって様々です。
教員配置が特に厳しいのは支援学級、小中学部のみの知的障害特別支援学校ではないかと思います。
1人の教員で3~6人の子どもをまとめることは容易ではありません。
以前、4人の生徒を1人で指導することになったのですが、4人が全員バラバラに散ったときはめまいを起こしそうになりました(苦笑)。
https://magomago1.org/315goodsrelayornotforusespecialeducationteacher202012/
前回は「315)どうする?教材の引継ぎ」でした。