それなりに仕事をしてくると、目の前の仕事や同僚のことで一杯、周りと比べて違いを知る、掘り下げて学ぶ、の繰り返しになる気がします。
今日は、理学療法士と作業療法士の違いについて書いてみます。
このネタは以前もどこかで書いたような気がするのですが、おそらく上肢と下肢、機能と応用などについて所属する医療機関等によっても違う、みたいな感じだったと思います。
【何が違うの】
学校にも理学療法士や作業療法士の方が来ていますが、その場だけのかかわりだと、職種の違いはあまり感じません。相手が教員であるために無難で平均的な答えを出している、自分の専門性を発揮することより、教員の話を中心に考える、といった配慮が原因だと思われます。
が、これまで仮説をたてて取り組んできたこと、たまに見られること、今やっていること、などの情報を提示して、対象者を支援する者として同じ土俵にあげると、だんだん個々の価値観や専門性が頭をもたげてきます。
話す内容により、その方向は一定ではありませんが、作業療法士は対象者の機能向上より生活を便利にする方に向いてきます(支援的・補助的)。理学療法士は補装具などの調整や支援の仕方、治療的支援に話が向いてきます(指導的・機能的)。
教員に強い動機づけがある場合は理学療法、強い希望がないときは作業療法士がウケがいいのかなと感じます。そうして、医学的、機能的な情報を提供する理学療法のほうが補完する役割を担うために重宝されがちです。(本当に現場レベルのニーズがあるかは別問題)
【どこに向かうの】
学校で見られる子どもの様子を見て、作業療法士は学級経営に近くなり、理学療法士は身体機能面から分かる指導の根拠を提示することが多くなるようです。
ある程度子どもの実態が把握できている教員、訳が分からないけれどとにかく学級をまとめたい教員は作業療法士、いろいろやっているけれど、これという指導を決めきれない、なかなか安定する指導の型が決まらないときは理学療法士を指名して話すことが多いです。
【でも、何が違うの】
子どもの、教員のニーズや状況に応じて作業療法士や理学療法士は使い分けられるものと思われ、相互補完的な位置づけでいいと思います。しかし、臨床現場(学校内でも)では理学療法士が幅をきかせているのでしょうか。いくつか理由を列挙してみます。
①身体機能面に強いので、医師と見ているものが比較的近く、病院のヒエラルキー構造的に上位にいると勘違いする。
②人数が多い。
③多くの病院では身体機能面のリハを先に置く傾向があり、理学療法士が現場の中心(経験年数的にも)になりがち。
④作業療法士と比べて明確な理論や答えが出せるので、強い意見を出しやすい。
これらは多くの医療機関で見られることですが、生活支援の場や、精神科では立場が逆転することがあるようです。人間関係は存在する環境によって異なりますが、他から見れば、それぞれ相互補完的な立場であることに変わりありません。特別支援教育では教員が中心に支援することになるので、それぞれの良さをうまく活用していきたいと思っています。
https://magomago1.org/489whichisbettermanyorselected202110/
前回は「489)特別支援学校 特別支援学校教員と作業療法士の違い(同じ生活をみる、だけど?)」でした。