こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、特別支援学校に入ることになったリハビリテーション技士のコンサルテーションについて もう少し詳しく考えてみます。
【コンサルテーションとは】
加藤・大石(2006)「特別支援教育を支える 行動コンサルテーション」では、コンサルテーションについて、「役割や専門性、立場の異なるメンバーが、具体的な支援技術や方法、内容について提供し合ったり、それらを享受し合う関係が重視されている」といっています。
特別支援教育における専門家の役割は「医療に関する専門性を活かし、指導・助言すること」に重きが置かれたため、医療に関する基礎知識が十分でない教員集団が、専門家からできていないことを指摘される、教えを乞う形になりがちではなかったでしょうか。
リハビリテーション技士が教員に対して、その専門性を尊重することを意識していたとしても、教員側からすると職員室文化や同僚性が通用しない黒船がやってきたかのように感じたのではないでしょうか。
【教員の抵抗感】
外部専門家に対する教員の印象として、以下のようなものが挙げられます。
「自分の指導を批判されるかも」
「学校のことを分かっていないくせに」
「外部専門家が何の役に立つか、正直よく分からないよ」
「相談しなくてはならないほど、困っていません」
「ずっと観察されるのは、いやな気分になります」
「外部専門家を入れて、受け入れた記録などを書くのかな。また書類仕事が増える」
「一人の子供について言うけれど、学級経営が優先だから、できないよ…。」
【教員のポジティブな反応】
別の視点から新しい知見を得ることができた。
自分の取り組みを後押ししてくれて、自信になった。
理論づけしてくれたので、自分のしていることの意味が整理できた。
翌日からの指導に活かすことができた。
【教員から、外部専門家に知って欲しいこと】
仕事は子供の指導だけではないことを理解して欲しい。
肯定的な評価、助言をして欲しい。
導は学習指導要領をベースにしていることを理解して欲しい。
学級・学年経営に支障のないように配慮して欲しい。
専門的な用語は難しい。
学校のルールを知って欲しい。
【気づいたこと】
学校で子供の指導をするのは教員である。
その教員が、平等なサービスを行うところから、専門性を取り入れるために「学級経営」、「学習指導要領」、「学校のルール」などをふまえる必要があると言っている。
しかし、これらの見えない条件は事前に外部専門家に説明できているだろうか? この条文化されていない文化を誰が情報として整理し、留意点として伝達できるか?
通常学校での特別支援教育に関するコンサルテーションの場合、外部専門家自身も経験した「学校」という場所に関する経験則をベースに担任の先生のニーズにせまっていけます。また、チームで指導していないので、教員関係のしがらみや忖度に左右される割合は少ない。そのため、「問題の同定」が比較的容易ではないかと思うのです。
一方、特別支援学校は組織運営と学年(級)経営が重なり合っている部分が多いため、特定の子供の指導を変えるだけにとどまらない場合がある。また、特別な支援が特別でなく日常になっているため、解釈によって「適切」であると共通理解され、改善の必要があると思われても変更の対象にならないことがある。
これは教員の思い込みだけでなく、タックスペイヤーの保護者の意向、前任者の意見、教職員集団の指導的立場の教員からの圧力も強く影響する。そのため、外部専門家は担任、対象児童、環境面の評価だけで解が出せない問題に多く直面することになる。
【オチ】
特別支援教育に関わるリハビリテーション技士のかかわり方として、「コンサルテーションモデル」がいいのでは、と考えられ、介入の仕方などについて研修が行われている。
しかし、学校文化を考慮すると、コンサルテーションモデルが効果的なのは特別支援学級や通常学級に在籍する気になる子供への相談ではと思っています。
特別支援学校については、職員室文化、教員の教育観、伝承された指導方法などが根強く、それらをふまえて肯定的な意見や、教員が聞きたいことを的確に見つけられる内部専門家(担任)モデルが妥当ではないかと思います。
https://magomago1.org/ptcanbeaspecialeducationteacher20200205/
前回のブログは「38)「学校保健・特別支援教育分野における理学療法の現状と展望」を受けて」でした。
https://magomago1.org/howmanystudentsinyourclass2020/
次のブログは、「40)特別支援学校の先生と生徒の割合って、気になりませんか?」について書いてみました。