教育実習生が感じる不安や疑問のなかで、「身体のことが分からない」というものがあります。
実習を開始してから、学校ではどんな流れで1日を過ごすか、どんなものがあるか、どんなふうに言葉をかけるか、どんな支援をするか、観察や体験によって分かってきます。
そのうち、自分も研究授業をしなければならない、自分が指導する立場になったらどうするか?などと当事者意識をもって物事を考えるようになるみたいです。そのなかで、自分とは異なる身体の状態をみて、どんな介助がいいのか、自主的な動きを引き出せばいいのか、身体にどのように触れたらいいか、何をやったらいけないのか、とても難しいことだと感じるようです。
思い返せば、自分もすごく怖がっていた時期がありました。初期のブログを見れば分かると思いますが、医師の指示も、診察もないまま、さも専門家のように触れて、かかわっていくのは傲慢だ、などと考えていました。
【実習生に、どう示せばいいのか】
えー、まずは解剖学から運動学へと話を進めていきましょう、などとボトムアップでいけばいいかもと思っていた時期がありました。医療系の学生は基礎医学から学んで、そこから発展的で応用をきかせた内容へと進んでいくので、どうしてもその流れで説明をしていきたくなります。
しかし、教員社会に足を入れてからは、どうもそういった流れは耳が痛くなり、専門家の世界は分からない、細かいところは専門家に任せればいいと考えることが強化されると考えていました。
そこで、今回は
①その子の代表的な身体の特徴を2~3出しました。
②それをふまえて、介助の基本にもつながる起居動作、座位、上肢の使い方、下肢の動かし方を順番にみていきました。
③その子にとって何を伸ばすといいと思うか、ネガティブなリスクになるものは何か言語化しました。
④その子の動きを引き出しつつ、学習に参加する身体的な支援の例を出しました。
指導方法を出してしまうと、聞いたことを使って授業を組み立てようとするでしょう。
それでは、実習生の人にとっても、子どもにとっても経験の広がりが期待しにくくなってしまいます。あくまで、基本的な情報と、てがかりを提示することで「私は何をやってみたいか」を形にできるようにと考えてみました。(いいかどうか…、正直分かりません)
【慣れ】
スタンダードな介助や、何がいいか分からないけれど言葉をかけたり、物を見せたりしていくうちに、だんだん児童生徒のことが見えてきます。この「時間を味方につける」ことができるのは担任の特権ではと思います。しかし、教育実習生は2週間から4週間のうちに、行った学校の環境(人・もの)をある程度把握し、研究授業というアウトプットまでこぎつける必要があります。この経験の差をどうするか、今後も意識して考えていきたいと思っています。