国語・算数(数学)、英語(ALT)、生活単元学習、自立活動、日常生活の指導、音楽、図画工作(美術)、作業学習など、特別支援学校には通常学校には見られないものも含めて、いろいろな授業があります。
一見分かりにくいものとして、「生活単元学習」が挙げられます。これは季節の行事だったり、自然科学に関するものであったりと、教材準備などに余裕があれば壮大な計画で実行可能な授業です。
【指導が難しい授業】
指導の難しさについて、何をもって難しいかという話ですが、「予見できないことに対応しなければならない」ということで、今回、「図画工作(美術)」を挙げたいと思います。
この教科は、自分が担当するまで理解できていなかったのですが、児童生徒の作業遂行能力の違いと、側につく教員(ST)の力量と指導観に影響されるところが大きいです。
【簡単な作業分析(ちぎり絵)を例に考える】
ちぎり絵を例に、材料・道具選びから、完成までの工程、完成のイメージを共有・表現、片付けについて考えます。
・ちぎる紙(厚さや大きさ、色のバリエーションはどれくらいか、ちぎるのが難しければ切れ目ヤミシン目を入れたりすることがあります。
・のりはスティックのりか、液状のりか、両面テープか、になると思います。教材庫にあるものを選んだ方が手間なく、再現性が高いので、あまり奇抜なことはしないほうがいいと思います。手指の使い方や感覚過敏の有無などもあるので、使い捨て手袋や筆、へらなどを使うことがあります。
・台紙も教材庫にある色紙や画用紙を使うことになると思います。作るだけならどんな紙でもいいのですが、展示するか、次の作品につながる材料として扱うかによって、材質や大きさが変わります。
工程は、何を作るか確認する、作品に必要な色を確認する、ちぎる、袋などに入れる、台紙かちぎった紙にのりをつける、貼り付ける、時間になったら(完成したら、区切りがきたら)終わる、片付ける(まとめる、重ねる、入れる、など)になります。
【かかる時間】
すべての工程を児童生徒独力でできるか?と考えた場合、まず「できる」、「できない」に分けられます。
児童生徒に頑張って欲しいところについて、どれくらいの割合で頑張ってもらうか、によってかかる時間が変わってきます。教員によって、丁寧にやる人と、ドンドンやっていく人とでもかかる時間は変わるでしょう。
MTが工程を提示し、児童生徒がSTと取り組み始めたら、MTは細かいことをチクチクと言うべきではない、というのが持論です。STも指導観をもつ教員です。主体的に学びの場にいるので、そこを尊重せずして、何がチームだという思いもあります。(ただし、かき乱す人には警告を出します)
足並みが揃わないときは、うまく分業して手伝う・手伝ってもらう関係をつくる、待たせることがないように地道に取り組む課題を準備しておく、などの工夫をしています。図画工作(美術)は他の教科のように、MTが作った流れに合わせるのではなく、児童生徒の個々の能力と、教職員の指導観によって、進み具合にバラつきがでます。そこを調整するのが難しいと思っています。