学校の文化 担任の先生より

555)特別支援学校 授業の終わりの振り返り

特別支援学校で行われる授業について、一般的かどうかは分かりませんが、よく見られる流れは以下の通りです。

準備
①MTと、横一列や馬蹄形(U字)になって向き合う、など形は様々
②その日の日直の子どもが前にでて、「はじめのあいさつ」
③MTの授業説明
④活動
⑤終わりの告知、再び整列
⑥授業の振り返り
⑦その日の日直の子どもが前にでて、「おわりのあいさつ」
片付けやトイレ誘導を行う

これらを落ち着いて、ゆっくりやっていくと、④の実際の活動時間は思ったより短くて、30分弱くらいになると思います。45分か50分の授業をみっちりやることはなくて、始めと終わり、見通しをもつことに時間が割かれていることが分かります。

活動時間は30分と書きましたが、次の授業との間は5分なので、授業後の片付けとトイレ誘導があり、教室の移動があると間に合いません。そのため、実際は45分や50分ではなく、活動時間も20分ちょっとになります。ただし、研究授業などのフォーマルな場で授業をする時は、きっちり45分や50分をやらないと、「学習権の侵害だ」、「時間を守っていない」、「指導案通りの流れでない」とお役人のような指摘がくるので注意です。(あ、お役人でした、すみません)

次の授業に遅れてはいけない、かといってトイレ誘導などはすぐに終えることはできない、長丁場の授業は給食前にセットすると、多少授業が伸びても「給食準備」にかかるだけなので、ダメージは少なくて済みます。

【振り返り】
話は脱線しましたが、授業の終わりごろにする「振り返り(フィードバック)」も授業全体の進み具合によって、カットされたり、短くなったり、1人ずつやったり、全員まとめてやったりします。

1人の場合だと、「〇〇さんは、〇〇を、こんなふうにやっていました。〇〇ができていて、とれもいいと思います。よく頑張りました。」みたいな感じです。

全員まとめてする場合は、「みんなで〇〇をしました。みなさんの作品を見てみましょう。これは赤、これは色を混ぜたんですね、とてもきれいに塗れました。また週も続きをやっていきましょう。」といった感じです。

【振り返りをするために】
気づかれた方もおられると思いますが、振り返りを行うことを想定しているなら、子どもと教員の様子を観察しながら授業を進めなければならないということです。もし、目の前の児童生徒の指導に追われてしまったなら、STに「〇〇くんは、どんなふうに作品づくりをしていましたか?」とふるのもアリですし、完成品への講評で終えてもいいと思います。

また、振り返りをするためには子どもの動きやSTの指導、作品の状態、これらを観察して、意味づけをする教養や観点がないと、なかなか言葉がでてきません。「~頑張りました~」だけでは、何を振り返っているのか、今回はこれでよかったのか、次回どうすればいいのか示したことになりません。自信がなければ、事前に何について振り返りをするか決めておき、そこを意識して観る、準備しておくといった準備が必要になります。

【なぜ、振り返りをするのか】
誰のために振り返りをするのか、になりますが、それは「MT(私)」、「ST(自分以外の教員)」、「児童生徒」、それぞれみんなのために行うものだと考えています。

①児童生徒に
達成感、帰属意識、承認欲求、終わりのあいさつが近いことを知らせる、など

②MTに
授業計画通りに授業が進んだか確認する、子どもの活動能力について確認する、次回に向けて何を準備するか把握する、など

③STに
STがどのように指導できたか、どのように指導して欲しいか暗に伝えるなど、OJT的な面が多い気がします。

振り返りをしながら、次の授業に向けた新しい発見があったときは、その場で告知して方向転換することもあります。「この描き方、すごくきれいですよね、次回はこれをみんなでやってみようか。」などです。

振り返りの難しさは、言葉を選ぶだけでなく、見えたものやできたものについて、ある方向から意味づけや価値づけをする行為なので、責任が重いと感じることがあります。そんなときは、頭の中で情報が整理できていないときが多いので、無理をして何か言おうとするより、ひとまず「誰でもそうだよねと思えること」を伝えればいいと思います。