学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

648)特別支援学校 列、乱すな!

学校では、よく列をつくるのですが、なぜだと思いますか?

学校なんて、すぐに子どもを一まとめにする。
軍隊の教育が残っているんだわ。
自主的に安全に移動できる方法を指導しないのかな。

近年あるあるな批判が頭に浮かんできます。

私も、学校にきたときは「教員の都合で子どもを指導している」、「個々の移動に関する課題をちゃんと見ないとさ」などと思っていました。(今でも多少思うことはある)

何年も担任をしていると、行われている活動(作業)の意味や目的がつながってくることがあります。

列をつくることもそうです。

「この先、こんなことが必要なので、列をつくる練習をしているんだ」と分かることが年々増えてきている気がします。いわゆる、作業分析の1つだと思うのですが、この意味づけをたくさんもっていることで、同じことをしていても、対象者1人ひとりに設定されたねらいは違うんだよ、と説明できます。

【列をつくる意味】
このブログの序盤に出したと思うのですが、列をつくることで集団の安全と方向性を明らかにする、というのがあります。教員と児童生徒の数的バランスは、学校や学年、学級によってバラつきがありますが玄関から各教室に移動することは必須です。

列が難しければ小集団を作ったり、教員が玄関と教室のピストン運行で連れて行ったりしますが、求められる隊形は「列」です。

なぜかというと、学校生活の中で列を作らなければならない場面がいくつかあって、校外学習で歩道を歩く時、卒業式で入場をするとき、健康診断で順番待ちをするとき、などがあります。普段からやっていないことをするのは難しいことです。やっておかないと、いざというとき困ります。

【他にも考えられること】
列を構成するのは、学年だったり、学級だったりの児童生徒になります。あと、教員という大人がついています。

「自分はこの集団の中にいるんだ」なんていう所属や帰属意識につながるものがあるかなと。あと、集団をリードするのは結局教員なので、「誰を見て生活するか」という手がかりを見ながら生活することが分かります。

算数にも関係しますが、順列(純烈ではない)とか覚えてますよね。先頭から、いち、に、さん、と数えます。列をつくることで数唱など数の概念だけでなく、自分は何番目という位置の確認も行うことになります。

また、暗黙の公共マナーについても学ぶことができます。歩道の中を歩く時、あまり踊りながら移動しないと思いますし、西に行く人と東に行く人がぶつからないように行き交うと思いますが、そのへんにも関係しています。

「自由に移動すればいいじゃん」とも考えることもありますが、人にぶつかればトラブル、車道に出れば命を落とすこともあります。自由は基本的な型や、リスク回避ができるからこそ認められることだと思います。少なくとも、学校生活では安全に関する責任は教員に降ってきます。それを考えると、想定できるリスクがある限り、安易に自由を認めることはできないのです。