医師・介護・看護 担任の先生より OT・PT・ST

738)特別支援学校 学校で対症療法は結構難しい

特別支援学校には骨や関節、心臓、腎臓などの課題を抱えた子どもが多く在籍しています。
生活上の困難さにつながる痛み等について、学校でも対応して欲しいと保護者や医療技術者から提案されることがあります。これについて、素人でもできるものか、学校での営みを阻害しないものであって欲しいと思っています。

【よくあること】
・個別対応を必要とするファシリテーションテクニックや歩行練習などを行う時間がコンスタントにとれないため、積み重ねの効果が期待しにくい。

・指導体制を無視した個別対応で、他の児童生徒の指導がおろそかになること。
・個別対応が大事と教員が判断して、集団から頻繁に特定の教員と子どもが抜けてしまう。
・治療的効果のある範囲が分からず、「もっとやってあげたい」と許容範囲を超えたアプローチをする。
・技術的に誰でもできるものでなければ、教員集団内で共有されない。(安定性と継続性、力量の課題)

技術より観点、対症療法より予防策】
例えばですが腰痛があったとして、その原因が背筋にあるとします。

それに対して「うつぶせになって、背中をモミモミしましょう」と言うのは簡単ですが、うつぶせになれる場所、個別でかかわれる体制が作れなければ実施されません。それよりも、「腰に力が常時入っていて疲労している」だとしたら、かかわりの選択肢が増えると思います。

時間や体制が整えばうつぶせでモミモミもいいですし、立位からつま先に向かって手を伸ばす前屈もありでしょう。椅子に座って体幹を回旋させてもいいと思います。姿勢保持に背筋ばかり使っていると思えば腹筋運動を取り入れるかもしれません。

大事なことは、この子には腰痛があり、原因が分かり、腰痛そのものを軽減するだけでなく、腰痛が起こりにくい体づくりや生活習慣に目を向けることが、生涯にわたって健康に生活するための活きた指導になり、生活に根ざしたリハビリテーションになると思うんです。