担任の先生より

799)特別支援学校 イヤ!

発語の指導は難しいです。

まず、身体機能的に声を出す機能(福祉機器も含め)があるかが必要です。

声や音を自分で再現するには、聴覚も必要でしょう。

振動で声や音の特徴を把握できるなら、表出できるかもしれません。

あとは、必要性にかられて出るかも、伝えたい気持ちが高まると出るかも。

これまで、ざっとこれくらいの認識でした。

最近、「はい」は言えるけれど、それ以外はなかなか…という子どもがいて、「イヤ」が言えるようになりました。

「イヤ」はいわゆる「No」です。

いいえや拒否を表現するのは、はいや合意よりも難しい表現だと思います。

彼は、声よりも首を横に振る、手を左右に振ることで「No」を伝えることができていました。本人にとって使いやすく、誤解なく分かってもらえる手段がよかったのでしょう。だから、あえて音声言語で「イヤ」、「いいえ」を身に付けて使う必要はなかったと思われます。

ところが、身ぶりのNoではおさまらない事態が降りかかってきました。

【プライド】
その子は自信はないけれどプライドが高く、やっていることは幼くて甘えが強いのですが、「できない人」や「幼い子扱い」を嫌いました。

着替える時間になっても、なかなか動き出しません。おそらく、他のことに気をとられているか、何から始めていいか分からないという感じでしょう。いつまでも待っていられないので、「やらないなら全部お手伝いしてあげたいな」、「バンザイすれば服を脱がせてもらえるんだよ、そうしようよ」

その子は拒否はするけれど、動き出すことはしませんでした。

「バスに遅れちゃうから、もう全部やってあげるね」⇒「(ジェスチャーで)いえいえ」の繰り返しがヒートアップしてきた頃

イヤ!(子どもの声)

一瞬、「は?」という雰囲気になり、私は「イヤ?」「やってもらうことがイヤなの?」と聞きなおしました。その子は他者の言葉を耳で聞いて、理解することができます。自分の発した声が、聞き覚えのある「イヤ」と一致したことに驚いているようでした。

その後、困惑しながらも「イヤ!」、「イヤ!」と興奮しながら言っていました。

発語に必要なことは、言って分かる、聞いて分かると対話につながることが大事なんだろうなと思いますが、自分の思いを外に出す瞬発力が必要なんだなと再確認できました。