図工や美術、生活などの授業を計画するとき、1コマ(45分)では足りないから、続けて2コマ、次の週も続きをする、などの設定が行われることがあります。
音楽だと、授業を一週間あけて、その間に練習してきてねと伝える、二時間続けて新しいものを吸収させようとすると、消化不良を起こすかもしれない、などの学習面の配慮が必要なときがありますし、図工の絵具のように、授業の合間をつくって、その間に乾燥させる、みたいなことも配慮するために、授業のインターバルが設けられます。
余談ですが、工程が長いから二週にまたがるという訳にいかないものもあります。それは調理です。今日は、いろんな材料を切ってみましょう、混ぜるのと焼くのは次の週になります、みたいなことは食品衛生管理の面からも、ちょっと難しいと思います。そのため、調理に関して多くの場合は、その日で完結できるものを作ることになります。
【合理的に】
もし、図工・美術の授業で「今日できることを、できるだけ効率的に詰め込んで、次回は仕上げをしましょう」と合理的に授業を組み立てるとしたら、どんなことが想定できるでしょうか。
まず、学習する内容や段階がどれくらいあるか、学習集団をいくつに分けるか、分かれた学習集団に属する児童生徒の能力がどれくらいか、教員の指導体制と力量はどれくらいか、教材準備にどれくらいの時間がかかるか、が留意する観点ではないかと思います。
どの小集団に何人いて、何をどれくらいするのかですが、学習課題の少なすぎると落ち着きませんし、多すぎると対話的に進めたり、適宜時間をとって個別に指導するなどが難しくなったりします。
また、二週にわたって授業をするのに、一週目で課題の大半をやってしまって、次の週に何をするの?ということも。合理的に進めることにとらわれると、イレギュラーな事態があったので次の週にしわ寄せがいく、教員の学習状況の把握、子どもが慣れながら、理解しながら学習をすすめることができなかったりします。
そんなとき、熟達した教員であれば、新たな課題をくっつけたり、時間が多少かかる課題を盛り込んだりして二週目を乗り切ることができるかもしれませんが、経験が浅いと使える指導の引き出しが少なく、課題ごとにどれくらいの時間や手間が必要か予見しにくいので、あまり多くのことをやろうとしないことが大切です。
【ざっくり・じっくり】
かといって、時間をとって、ゆっくりすることを想定するのもリスクがあります。思ったより作業が早く進み過ぎて、残り時間をどうしたらいいか分からない、なんてことがありますし、個別に言葉をかけて指導しようにも、個々がもっている課題は何なのか、どうしたらもっとうまくできるのか、その場で把握して、対話して、提案する力量が求められます。しかし、それはMT(司会的な教員)だけが担うものでなく、一緒にいる教員も担っていることなので、慣れない、自信がない、なども含めた事情があったら、ざっくり・じっくりできる学習を準備することをすすめます。そうして、やっているうちに、その学習集団の作業能力を知ることができ、その後どんな活動を盛り込んでいけばいいか、見えてくることがあるんです。