小学部と中学部の入学式のリハーサル(動き確認)がありました。
小学部と中学部、発達段階をふまえると、あまり変わらないということもあるでしょうが、式の形がまったく違うのです。小学部より中学部のほうが成長しているはず、年齢的に大人なみに扱うべき、みたいな考え方もありますが、式の様子を実際に何度も見ていたら、それもそうだよなぁと思ってしまいます。
今回、比較するのは知的障害の特別支援学校の話です。
【小学部】
どんな子なのか、実は担任の先生が学級の子を見るのが初めて、というパターンが多いです。
勿論、新入生になる子は何度か学校にきています。入学相談や、入学体験などの機会があって、進路系の担当になった教員は観察や聞き取りなどもしています。
その時点では「本当に入学するか、はっきり決まっていない」、「誰が1年〇組になるか決まっていない」、「1年〇組の担任の先生は、まだ校内人事も発表されていない」、「どの先生が小学部1年生になるか未定」です。
「自分は、次年度、小学部1年生の担任になるんだ…」
「自分は、あの子の担任として指導することになるんだ…」
と覚悟を決めて、意識して観察した人は、誰もいないということです。
そのため、入学式は、子供の実態がはっきり分からない状態で、フォーメーションをつくることになり、若干過保護な形になります。まず、時間になったら着席して入学式の開始を待ちます。あと、隣にマンツーマンで保護者1名が付き添って座ります。まだ、母子分離できておらず、儀式的行事の雰囲気に耐えられなくて、走って行ったり、泣き叫んだりすることがあるためです。それも、その感情の動きや変化は、新担任だと予見できないし、対応しきれないところがあります。
一方、肢体不自由の学部の入学式だと、担任が隣につきますが、必ずマンツーマンという訳ではありませんでした。車いすに座っているので、急にかけだして逃げることはないだろうという点と、保護者以外の人からの支援や介助を受けた経験があるので、ある意味「慣れている」のかもしれません。
【中学部】
中学部では、新入生入場があります。やっぱり、小学部時代に卒業式だけでなく、並んで移動する、最後に座る、が学習できているのが大きいです。座ったあと、座り続けていられるか、どうすれば落ち着くかも引継ぎで分かっているので具体的な対策が立てられます。
できるなら一人で着席、難しければ教員が付き添う。
1人で座れる生徒と、座れない生徒が混在するので、座席は生徒と教員との組み合わせパズル。
どの先生が、誰と誰をフォローするか、カバーするかも決まっています。
守備範囲を意識しながら、進行に合わせて、どのように動くか考えます。これが「個別最適」、「個に応じた指導」です。