新年度が始まって、2か月ほど経過した5月末から6月初旬に授業参観が行われます。
事前に通知を出して、都合をつけて来てもらいますが、本音を言うと「来てほしくない」が多少勝っています。
なぜかというと、以下のような理由が挙げられます。
【来てほしくない理由】
1 終始、美しくできるものでない
授業で間違える、分からなくて立ちすくむ、などはよくあることです。適宜指導をすれば良いことです。しかし、教室から出ようと走る、床を転がる、教材を投げる、などが始まったら止めるしかありません。しかし、保護者が見ている前で、乱れた子どもと、それに追われる教員、そりゃ見たくないだろうし、見せたくないものです。親と教員、大人同士で「これは大変だ」と暗黙の了解で過ぎることもありますし、うちの子はきちんと言って聞かせればできるのに、といったクレームが入ることもあります。
2 指導の内容に注文が入る
「授業の中で〇〇がありましたが、それは何ですか?」なんていうのはかわいいものです。うちの子が外にでたときに混乱しないよう、これも教えて欲しい、なんていう注文が入ったりします。集団の授業では、大枠で参加している児童生徒がほぼほぼ把握しやすいものを提示します。個別対応として発問の内容を少しずつ変えたりするのですが、必要以上に提示するものを増やすのは歓迎しません。
3 母子分離ができていない年齢・発達段階だと
子どもが母子分離できていないと、集団の中で、先生の方を向いて、というちょっと頑張って社会参加する環境が、いとも簡単に崩れてしまいます。保護者のほうをチラチラ見るのは仕方ないのですが、立ち上がってかけよる、こっちに来て欲しい~、抱っこして欲しい~と泣き叫ぶようになったら授業がカオスになります。ST(サブティーチャー)は崩れた子どもをなんとかするために奔走し、MT(メインティーチャー)は授業を見ている子どもの学習権を侵害しないよう、頭を機械のように回転させて授業を続けます。
たまに、自分の子どもが迷惑にならないようにと駆け寄ってくる保護者もいるのですが、かなりの割合で「迷惑」になっています。甘えの感情を助長して、収拾がつかなくなることが多いです。
【来てもらったらいいと思う理由】
以前、書いたことがあると思いますが、授業の様子を教員と保護者が一緒に見ることで、「いつも連絡帳で書いていることは、こういうことですよ」と確認して頂くことができますし、内容によっては保護者と一緒に取り組まなければいけないテーマはこれです、と示すことができます。
【それでも】
教員と子どもが一緒に活動している様子を見て、家庭のように子どもと1対1で向き合い続けられる環境でないことを知って頂くことも大事です。が、どんなに教員が子どもの様子の変化や、環境の変化に対応できるためにバタバタしていても、「うちの子のために、これをして欲しい」と言い続ける保護者もいらっしゃいます。
「あのね、お宅の子だけ見ている訳にはいかないんですよ」
「それは学校でなく、ご家庭で取り組んで頂きたい内容ですよ」
多くの教員が思っていることだと思います。