担任の先生より

1122)特別支援学校 見せる作品

図工や美術の授業で作る作品について、「今回の作品のなかで、いくつか〇〇作品展に出しますよ」、みたいな告知が出ることがあります。

こういった出品は、ある団体が学校に告知して、それを図工や美術の教員が主に属している教科の委員会でうけて、現場の授業担当として取り仕切る、の流れだと思います。

こういった学校の外部からの依頼について、教育委員会等の公的(公益)機関がからむと、「それは指導として意味があるのか」みたいな精査するような視点はあっという間にとっぱらわれて、「下りてきた仕事の一環ですスイッチ」がぱちんと入ってしまいがちです。

一方で、組織が別枠の、ある意味外部からの話になると、途端に慎重になり、「余計な仕事がふえる」、「営利活動に使われるのではないか」、「子どもの指導として有益なのか」といった厳しい見方が露わになります。それがいくら子どもにとって、教員にとって有益なものだとしても、です。

このような場合、教育委員会や管理職が認めて、是非どうぞ、と言ってしまうと、途端に受け入れ準備に入ることがよくあります。こんなことから、現場の教員にアプローチするときは、教員の価値観や指導観等に寄り添うだけでなく、公務員の職務の枠にはめこむ(いわゆるトップダウン)ことの併用とバランスが必要なんだろうなと思います。

【作品展】
話はそれましたが、作品展に出す(かも)という話を受けて、学級の先生に、学級の子の作品が選ばれるように支援するか、特に狙うこともなく、ありのままでやってみるか、聞いてみました。

これも難しいですね。どんな作品、作風にするにせよ、児童生徒に対して支援するのは教員ですから、完全に子ども100%の作品は難しいことが多いです。

相方の先生は、「選ばれる作品にしてみよう」ということでしたので、準備することにしました。

【工夫】
まず、作品の大きさや色、構造について、おおまかなイメージをもちます。

作品の大きさや構造について、子どもが「こうするんだね」「この範囲をすればいいんだね」という枠組みを決めます。

手順を決めます。

手順のなかで、「これが面白いぞ」「これはどうやって作っているんだろう?」というアクセントのつく技術を密かに混ぜます。

【授業】
授業では、「コレをつくります(描きます」、「工程はこうです」「道具はこれで、こんなふうに使います」、「はい、やってみましょう」です。

教員は何をするか、どのようにするか、どこまでやるか、次に何をするか提示しながら、必要なものの準備、環境設定、状況説明、言葉かけ、時間的ペース配分などの支援を継続的に行います。

更にクオリティの高い指導を求めるなら、その子なりにできるための環境(自助具的なものの提案も含む)を即席でつくる、その子にあった作品づくりの技術をアレンジして提供できる、子ども同士で協力したり、見合ったりしながら作品づくりを進める場づくり、などを必要に応じて盛り込んでいきます。

作品の大きさ、色使いなどでアピールできる点があり、1人の作品が選ばれました。作品発表については、子どもの名前や作品そのものは子どものものであることから、保護者の合意を得たりしています。

【図工の指導力】
手順や配慮について、ある程度パターンみたいなものもありますし、学校ごとに準備されている物品はそんなに大きく変わらないので、ある程度経験を積んで、要領を得たらできてくると思います。

しかし、先生自身がもっと可能性を追求したい、満足できる授業にしたいと思われるときは、普段から様々な表現物に関心をもって、色や見せ方、画材、配置などを知ろうとすることが大事だと思います。情報や刺激を取り入れて感じること、取り入れたものを自分なりに理解すること、アウトプットに反映すること、これらが作品の可能性を広げ、独自性を形にする支援につながるのでは、と思います。