学校の文化 担任の先生より OT・PT・ST

60)特別支援にかかわる作業療法士の役割は、学校生活のデザインを支援すること」

こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、「特別支援学校に勤務する作業療法士有資格者の現状と課題(Ⅱ)-業務に関する研究-」(中島綾、大瀧誠ら、2014)を読んで、考えたことを言語化してみます。

先日、リハビリテーション技士は対象の子どもだけでなく、教員などの連携する職種の仕事について もっと関心をもち、理解を深めるといいねーという話をしたところなので、すごく興味深く読ませて頂きました。

【論文に書いてあること(要約)】
研究の目的:「特別支援学校に勤務する作業療法士の資格を持つ教員がどのような業務を行っているか明らかにすること」

研究方法:特別支援学校所属の作業療法士有資格者31名を対象に、自記式質問紙にて調査する。

自記式質問紙の内容:日常生活面の指導に関する質問、研修に関する質問、巡回に関する質問

【自記式質問紙の回答(結果)】
有効回答件数は17件(男性5名、女性12名)、有効回答率54.8%

回答者が所属する学校の校種:肢体不自由9名、知的4名、知肢併置3名、病弱・身体虚弱1名

日常生活面の指導:回答者全員が「摂食指導」、「更衣指導」に取り組んでいた。
教員は「自立活動、教育方法、保護者の療育支援」が教員の役割だと考えている。
リハビリテーション技士には「摂食指導」や「ポジショニング指導」といった日常生活面の指導を期待している教員が多い。
作業療法士には、補助具の工夫、食べる練習、ADL訓練、環境設定等、日常生活に関わる面からアプローチする職種として特別支援学校の教員に認識されている。

研修:実施したことがある人は有意に多く、研修内容は「手の発達」に関するものが有意に多かった。

巡回指導:実施したことのある人は有意に多く、巡回場所は「小学校」が最も多かった。支援内容は 「ADLに関すること」、「授業内容や指導方法」が最も多かった。逆に、個別の教育支援計画、指導計画へのアドバイスや保護者支援に関する事例は極めて少ない⇒ニードがさほど高くないため支援に結びつきにくい。

今後の課題について:「今後は作業療法士の専門性を生かせる業務の在り方について検討する必要がある。」また、「今回調査した業務以外の業務に関することや各業務に費やす時間と頻度、また他教員の業務との違いについても明らかにし、作業療法士の専門性を十分に生かせる業務の在り方について検討する必要がある。」と述べている。

どうしましょう…

【読んで感じたこと】
おさえておきたことは、特別支援学校は登校から下校までの流れ(授業等)が決まっていて、学部(小~高)や学年(〇年生)という枠組みの中で、学級担任が責任をもって指導(支援)する、「いわゆる生活の場」です。

担任は1日、学年や学習グループなどの集団の中で、自分の学級(クラス)の児童生徒がどう過ごすか確認しながら過ごしています。では、担任でない教員はどんな人かというと、週のうち2時間だけ児童生徒とかかわる時間がある人、特定の要望がでた場面だけ評価しに行く人、医療機関や他校などとの連携にかかわる人、などになります。

論文の中では、作業療法士(OT)の専門性が生かせる業務について検討する必要性があると述べられていましたが、手の使い方やADLは医療機関等における役割分担の中で割り当てられたもので、特別支援教育における作業療法士の役割は、「学校生活をデザインすること」ではないかと思います。

学校生活(1年)を通して何をターゲットにして共に学ぶか、ターゲットになったものを指導としてどう学校生活の中に盛り込むか、教科(授業)ごとに何ができればよいとするか、1日の中でどこを頑張りどこで力を抜いて過ごすか、などを形にするには医療的な視点が欠かせません。

作業療法士と連携するから、担任の先生は「手の使い方」、「姿勢」、「教材」などの質問を出しますが、それは子どもの年間指導目標の中でどのような位置づけにあるのか、生活場面のどこで必要性があるからなのか、はっきりしないことが多いです。
教育支援計画や個別指導計画の相談が少ないのは、子どもをどう捉えているか説明することが難しく、説明する量が多くなるから時間のかかる相談を避けようとしているのでは?と思っています。 なので、手や姿勢、教材の質問がきているから作業療法士の専門性が求められている、それを担任からのニードだと安易に飛びついていいものかと思います。

リハビリテーション技士が特別支援学校等の担任になっている例は少ないと思います。そのため、学校という組織の中を全般的に見たという経験則(情報や知見)が明らかに少ないと思います。
学校は教育行政の一部なので、与えられた役割を果たしますが、学校に在籍する児童・生徒の支援に焦点をあてるなら、学校生活全体を見る人(担任)を増やさないと、本当に作業療法士(リハビリテーション技士全般)が為すべきことは何か見つからないし、決められないと思うのです。

https://magomago1.org/imageotherjobsituation202003/
前回のブログは、「59)医療業界(作業療法士)から教育業界(特別支援学校)に移るということ」でした。

http://magomago1.org/classroomteacheradvantage202003/
次は、「61)特別支援学校(知的)でやっていた着替えの指導(実例)」です。

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