学校の文化

144)学校文化「同調圧力」について

こんにちは、雑賀孫市です。

今日は、学校文化を語るなかで、よく言われる「同調圧力」について書いてみます。

この言葉って、すごくネガティブな使われ方をしています。

【同調圧力の意味】
同調-調子が同じである、他に調子を合わせる、他人の意見などに賛同する。(反対語=反論)

圧力-押さえつける力、威圧して服従させようとする力

同調圧力-集団において、少数意見を持つ人に対して、周囲の多くの人と同じように考え、行動するよう、暗黙のうちに強制すること。

まるで、「出る杭を打つ」と同義のような雰囲気がありますが、他と違うことは悪いことなのでしょうか。

安定-物事が落ち着いていて、激しい変動のないこと
   平衡状態に微小な変化を与えても、もとの状態とのずれがわずかの範囲にとどまること。
   物質が容易に分解・反応・崩壊しないこと

同調圧力と安定、単純に比較できる言葉ではないと思いますし、反対語でもありません。

なんとなく例に出してみましたが、教員集団を考えるにあたり、両者の違いは「違いを認めるか否か」、「均質な集団にするか、個性を認めてチームをつくるか」の違いではないかと思うのです。

職場で頭を抑えつけられた、と思うのは前者を強く感じたからで、同じようにまとめられても、自分や自分の意見の価値を認められていれば、それほど拒否反応はでなかったのではないでしょうか。

【昔の先生】
昔からいる先生の話は、今と比べたら信じられないようなものばかりでした。

「行事が終わったら、教室で慰労会。酒飲んでべろべろになった。あの校長も昔はそうだったよ。」
「休憩時間も含めて、仕事が終わったら早く帰っていたよ。」

などありました。

が、こと授業のことになると
「議論が白熱して、喧嘩になった。」
「若手を一緒に授業づくりをした」
「教材研究が面白くて、寝ないでそのまま仕事に出た」

などと、昔のほうが職人集団的な感じだったのかなと思います。

考える考える

【同調圧力が発生する背景】
同調圧力と感じられるような振る舞いになるのはなぜだろう?

・限られた時間の中で一つひとつのプロジェクトを実行して報告しなければならない。
・意見のすり合わせをするほど時間がなく、これが済んだら自分の仕事もやらなくちゃ。
・みんなができることをやらないと、すり合わせる時間はとれない、無難にまとめたい。
・いろんな先生に役割分担して、不公平感がでないようにしなくちゃ。内容を吟味する余裕はない。
・自分はこれまでやってきたことを活かして、「こうしたい」の。
・自分のこれまで積み上げた価値を簡単にひっくりかえされたくない。

感情面はあるでしょうが、組織的に、個人的な多忙感が、人を育てたり、意見をすりあわせたり、一緒に作り上げたりする時間的・気持ち的な余裕を奪っているのかもしれないと思っています。

教員の多忙感について、「忙しい」や「時間がない」は言い訳だという意見もあり、時間の使い方を考えていないからだ、連携できていないからだ、という指摘もあります。

確かに、会議はダラダラで、感情的な意見が止まらず堂々巡りなのはうんざりですが、効率性や合理性を重視し過ぎるあまり、「個々の価値観・教育観」「人を育てること」が置き去りにされていないでしょうか。

【それでも人は感情を持っている】
学校では即席でチームを作り、運営することが日常的です。

経験の有無、教育観や価値観の違い、立場の違い、いろいろあって大変ですが、共有できるビジョンと価値があれば、それほど不満はでないのかもしれません。

ドラッカーはチェンジ・リーダーの条件として、捨てる勇気をもつこと、改善や工夫を続ける、成功を追求する、イノベーションを率いる、と述べています。
これらをチーム全体で意識しながら運営できたら、成功体験が得られたら、と思うのです。

http://magomago1.org/houdoyouworkafter60yearsold202005/
前回のブログ「143)教員の60歳以降の働き方~定年退職が65歳に~」

http://magomago1.org/whatisteachersskillandduty202005/
次回は「145)教育公務員は何を目指せばいいのか ~会社は顧客を創造することが目的~」について書いてみます。