学校の文化

9)特別支援学校の分掌組織図を読み解く~先生のお仕事~

こんにちは、雑賀孫市です。
今回は、特別支援学校の分掌組織図を読み解く、というテーマで書いていきます。
分掌とは、お仕事を手分けして受け持つという意味ですが 、
学校にいる教職員はどのように仕事を分担しているか、順を追ってみていきましょう。

【(例)病院の組織の図】

図A:社会医療法人製鉄記念八幡病院 組織図より引用

まず、上記の図をご覧ください。
この図Aは、社会医療法人製鉄記念病院の組織図です(令和2年現在)。
所長がトップで、次に病院長がいて、診療部や看護部などがあり、 それぞれに職員がいて、部署ごとに機能する、ということが分かります。

【学校の分掌組織】
では、学校はどうなっているでしょうか。
次は福岡県の直方特別支援学校のホームページに出ていた分掌組織図を見てみましょうです。

ホームページに出ているだけあって、色つきで分かりやすいです。
この図Bを見てみると

まず、黄緑色が管理(職)する立場で、

オレンジ色が、管理職のもと、各種会議が開かれ学校経営を行い、

緑色が、障害種別ごとに部門があって、小学部、中学部などが置かれているということで、
その中で担任の先生や、子ども(児童・生徒)がいて、学んでいるのだと思います。
多くの人はこの黄緑と緑の部分で学校が運営されていると 考えているのではないでしょうか。

では、は何でしょうか。

これは病院の医事課や防災などのように独立した部署で、 それぞれ職員がいるのかな?
思うかもしれません。

これらは、実は緑の各部門の先生に割り振られる「分掌」の役割です。 ちなみに、分掌だけでは補いきれない小規模の仕事は「委員会」と称して 更に追加で先生に割り振られることもあります。

図Bを見て、分掌は細かくなり過ぎず、比較的シンプルに まとめられていると思いますが、聴覚障がい部門、知的障がい部門、肢体不自由教育部門 と動き方が全く違う部門が共存しているので、運営上足並みが揃いにくいかもしれないと 思いました。みなさんはどのように感じられたでしょうか?

次に、ある肢体不自由を主とする特別支援学校の分掌組織図を見てみましょう。

都立村山特別支援学校学校要覧より抜粋

先ほど挙げました図Bと大きく違うのは、各委員会があるのと、 自立活動部という部署がある点です。
この図から見て分かることは、自立活動部の位置づけは組織運営上、すべての学部に影響を与えるというより、一部署として存在しているということになります。
※この自立活動部には、自立活動の教員免許(認定試験で取得できる)を持っている 元OT・PT・STが所属していることがあります。

【ドラッカーの言う機能別組織にあたる】
学校の公務分掌組織は、ドラッカーの言っていた機能別組織にあたります。
メリットは各部署の専門性が高く、社員による専門分野の知識や能力の習得がはやい
デメリットは業務ごとの連携が難しく、部署間で摩擦が起こりやすいこと、他の部署の利益を犠牲にしても自部署の利益を目指してしまう全体の目標が見えにくく、部署ごとの目標が設定しづらい全体的な意思決定を下せる経営幹部が育ちにくい、といったものが挙げられます。

特に成果主義的になった組織において、スタンドプレーで周囲をひっぱりまわすサブリーダーが出現すると混乱しやすくなる傾向があります。

【最後におさえておくこと】

・学校の分掌は担任の先生が学級運営と併せて担っている組織運営の仕事です。
・分掌や委員会が多いと会議も増える。
・小規模校であっても、一つの学校を運営するために必要は分掌の数は減らない。
・小規模校だと教員の数が少ない。その割に分掌や委員会の数が多いと、
  一人の教員が受け持つ  公務分掌や委員会が複数になる。
・自立活動部は、組織図から見ると、全体に影響を与えることを前提にしていない。

※組織図の細かいところについては内容については、追って少しずつ書いていきたいと思っています。


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