こんにちは、雑賀孫市です。
今回は会社で言われるマーケティングとイノベーションは公立の特別支援学校でも機能するか、について考えてみます。
校長先生で、「教員の常識は社会の非常識」、「同じことの繰り返しはダメ、改善・改善」と言う方がおられました。
このような意識は誰のためかにかかわらず、成果主義的な考えが色濃く反映していると思われます。
成果をあげる改革はどのようなものを指すのか、学校という組織にそれらは馴染むのかという点が気になります。
【マーケティングとは】
マーケティングとは、「顧客の現状や価値観を理解して、潜在的なニーズを掘り起こし、それに見合ったものを作り出すことで買いたいと思わせ、自然と売れるようにすること」で、ドラッカー氏は「マーケティングの理想は、販売(売り込み)を不要にすることにある。」と言っています。
そのため、何が売れているか調べることは市場の流れにのっただけ、何を売りたいか、どうすれば売れるかと考えることは、顧客よりも売り手のニーズをもとにした考え方と言えるでしょう。
【イノベーションとは】
ドラッカー氏は、イノベーションとは新しい価値を創出することで、新しい見方・考え方で資源を活用してより大きな価値を生むことにあると述べています。
何がイノベーションかというと
①社会をより豊かにすること
②企業のあらゆる部門、人材、活動が起こせるもの
③既存のものでも、新しい価値を示せばイノベーション
④社会・経済のあり方を変える
【マーケティングとイノベーションを有効に機能させるには】
これら2つの機能を発揮するには効果的に動くための組織づくりや工程や手続きの見直し、人材の能力を捉えて効果的に発揮させること、「ヒト・モノ・カネ」が必要に応じて使えること、これらが欠かせないと思われます。
【特別支援学校の場合】
マーケティングと一口に言っても、教員には子どもを指導するだけでなく、学校という看板をどうするか、地域との連携はどうするか、校内調整、などがあります。
誰のニーズを掘り起こすか、難しい問題です。
確実にやっていけたらと思うのは、「教員の授業づくり」と「学校生活を有益なものにする」ことですが、学校でいうイノベーションは④の社会・経済のあり方を変える、といった新規性であって、①から③はレギュラーメニューだからイノベーションにはあたらない、という価値観があるように思われます。
学校が行っている対外的な仕事は、地域のニーズよりも「実施することが必要だ」と上からおりてきた仕事が圧倒的に多く、(多少にかかわらず)意味があるので止められない仕事で、より良くすることが求められるために華美で大がかりになる傾向がありました。
どうも、ニーズよりも、やってあげるサービスを増やすことで満足していたのでは…。
【見栄えより効果的なもの】
私から見て、一番とりかかりやすいのは②あらゆる部門、人材、活動が起こせるものと、③既存のものでも、新しい価値を示せばイノベーション、だと考えています。
今やっていることは何か言語化する
科学的根拠、妥当性があり、無駄のない手だてか
優先順位の高いものを選ぶ
提示された人的・物的・金銭的な資源はどれだけか把握して進める
見かけ良くても、形ばかりのものは捨てる
意味をチームで共有しながらすすめる
成果を保護者や地域に示す
あれもやっている、これもやっているではなく(量)、
ここを大事に考えてやった、それでこうなった!(質)で勝負
今後の特別支援学校のテーマはアドバルーンをあげることでなく、みかけは人情、中身は科学、かもしれません。教育的ニーズの掘り起こし(マーケティング)と科学的・戦略的な指導(イノベーション)が両立できれば、学校の専門性の向上と働き方改革は一歩前進すると思うのですが、どうでしょうか?
http://magomago1.org/whatkindofinformationdoyouwant202005/
前回「146)特別支援学校での指導の引継ぎについて書いてみます。」
http://magomago1.org/specialeducationhowtodecidethedirection202005/
次回は、「148)顧客のニーズが指導のあり方を決める」について考えてみたいと思います。