こんにちは、雑賀孫市です。
今日は、専門家である作業療法士が生活の場に入る時に、ぜひ留意して欲しい点について1つ書いてみたいと思います。
それは、「特別支援学校に作業療法士が入るなら、入る場所と時間を相手にお任せにしない。」です。
つまり、「どこでも見させて頂きますよ」ではなく、信頼を勝ち取るまでは、自分の得意分野が発揮できるところを見させて欲しいとしっかり伝えるべき、ということです。
【作業療法士が教室などに入るタイミングの選定】
外部専門家である作業療法士に、いつはいってもらうか、そこは3点ほどあるのでは、と思います。
①朝の会など、ルーティンでまわっているところ。
この場を見せるということは、日常これで動いているけれど、もっとしっくりくるものはないかと渇望している場合と、スムーズに流れている状態なので指摘されるところはないだろうとバリアを張っている場合のどちらかではないかと感じています。
②教員と子どもの動きがあり過ぎて、とにかく人が足らないなかでどうまとめればいいのかという、「職場の叫び」のような時間帯の指定です。「何か言えるものなら言ってみろ」、か、「もし、この場をおさめる流れがつくれたら、すごく助かる。」というリスクたっぷりの状況です。
③研究授業に向けてなど、論拠が欲しいところ
学校では、採用されて数年たった先生の研究授業や、校内で年間を通して行われる授業研究などが行われています。
そこに専門家が入り連携した、助言を得たという後ろ盾が欲しいときに呼ばれることがあり、このようなときは、授業実践について「こんな理由で、この取り組みは良い、この活動には意味がある。」と、授業の良さを科学的に肯定すると喜ばれます。
しかし、それにも時期があって、年度の始めは少し課題があったところから段階的に授業改善を行って、最終的にはこうなったという流れが必要になので、アメとムチを使い分けることが必要です。
【作業療法士はどんな時間帯に入るべきか】
私が見ていて、作業療法士が学校に入ったら面白いと思える時間帯について。
①登下校:どう待機し、どんな順番でスクールバスなどからおりて、どう靴を履いて、教室に向かうか。
個別、集団の評価をするところ満載です。
②給食:普段と違う人が入ってくると、子どもたちが途端に「上品に食べる子」になったり、「大人が歓迎ムードを作り過ぎて適切な摂食の環境をブチ壊すこと」があったりしますが、普段とどう違うかが対話の中心になるので、話しやすいのではないでしょうか。
③動きなら体育、認知なら国語・数学(算数)
④下校前の準備や待機の状況:児童生徒の活動に差がでて、ある子にとっては中だるみの時間になりがちです。全体の動きをみて、個々の課題を薦めつつ、時間になったらきっちり帰りの会ができる、そんな状況になるにはどうすればいいか考えどころだと思います。
⑤給食の前後:④と同様です。午後の授業が始まるまで、個々がどう過ごすか、学級経営としてどこまでの活動なら許容できるか考えどころだと思います。
【最後に】
作業療法士は生活を見るのが専門性だと思います。
しかし、最近の作業療法士は理学療法士的になり、個別で深く掘り下げることが専門性だと考える方が増えたように感じています。
もう一度作業療法の柔軟さを取り戻して、40%のことが60%になればいい、5%が10%になればいい、それを教員と喜び合えるようになって欲しいと願っています。
https://magomago1.org/231researchingsafetylunch202010/
前回は、「231)特別支援学校 校外学習に向けて、アレルギーを確認しに行ったときのエピソード」でした。外からは見えない先生の仕事について書いています。
https://magomago1.org/233sharespecialistsideasmakingbetterlife202010/
次回は、「233)問題の同定(どうてい)は周知だけでなく、協働につながるところまでやりたい。」です。共有するところ、独自の専門性とアイディアを発揮するところ、うまく使い分けたいという想いで書きました。