少し大きな駅に行くと、電車が出入りするホームで、駅員さんが左右に指差ししたり、手を挙げたりしています。それぞれ何を意味するか詳しく分かりませんが、「見たつもり」、「やったつもり」にならないように確認するための動作なんだろうなと思ってみています。
その隣で、電車好きな男性(20歳くらい?)が駅員さんの言葉と動作を真似ています。
側にいる少し高齢の男性が「すいません、電車が好きなんですよ。」と頭をかきながら、男性が前に出過ぎないように腕をかかえていました。
【ヒューマンエラーの防止】
学校にかかわらず、在宅でも、医療機関でも、注入や吸引が行われています。
対象者の鼻から、首から、お腹から少しでているチューブなどと、シリンジやチューブを接続や挿入をしていきます。健康や命にかかわることなので、必要な手続きがもれないよう、決められた内容以上のことをしないよう、基準を確認して少しずつおざなりにならないよう、物品を揃え、環境を整え、手続きを確認しています。
そこで、よく行われているのが「ダブルチェック」です。
1人が読み上げ、もう1人が勘違いや確認もれがないか見ていきます。
こうして、事故やトラブルを防止するだけでなく、実施者が正しく行っていたのに事故が起こったとき、実施者を守るためにもダブルチェックは重要だと思います。
しかし、医療現場や学校でもダブルチェックや読み合わせが行われながら、ヒューマンエラーが起こっています。もちろん、人間は常に万能で完璧ではないので、ミスは起こります。問題なのは、ミスをミニマムにしようとする意識が低い状態で放置されていることだと思っています。
【ダブルチェックでよく落ちるのが指差し】
慣れない頃はマニュアルをよくみて、どこまでやったか指でおさえ、書かれているものは何なのか見比べているので、基本的なものが分かっていればミスはほとんど起こりません。しかし、少しずつ慣れてきて、「私、できるー」と思うころが危険です。そこをカバーするのが「指差し」です。
ダブルチェックしている状況を作るだけで安心しているケースもあります。
ダブルチェックは、それぞれ当事者意識をもって臨んでいるときは効果的ですが、それぞれが「二人でやれば大丈夫」と思っているなら危険です。ひどいときは、1人が機械的に書面を読み、それに相槌をうつだけのダブルチェックです。特に、読んでいる側が「いつも通り」と思い込んでいるとき、人の取り違えや、留意事項の追加、数値の変更に鈍感になっています。
【大事なこと】
医療的ケアには手順がありますが、それぞれに意味があるので、それを正しく理解することです。それによって、ここは落としてはいけない手続きだ、これは順番が変わっても大丈夫、これは何回確認してもいい、と理解したうえで実施できるようになります。
次に、手続き1つひとつについて、自分のスキルをいかに磨くか挑むこと、今日の対象者と周囲の環境をふまえてベターなやり方を逐一考えることで流れ作業を防ぐことができます。
それができているか、自分に問いかける行為が「指差し」だと思います。
https://magomago1.org/447areteacherssummervacationfree202107/
前回は「447)特別支援学校 教員の夏休み」でした。