こんにちは、雑賀孫市です。
今回は、特別支援学校の中でよく見られる靴について、担任の先生目線で書いてみます。
肢体不自由の特別支援学校でしたら、つま先立ちのような足になる尖足に対応するため、両側(片側)支柱付き靴型装具、シューホンブレイスと大きめの運動靴のセット、ハイカットの靴型装具が多いようです。
(シューホンブレイス:L字型のプラスチック装具で、足首が90度近くでキープするよう履くもの)
知的障害の特別支援学校内でしたら、足首が外反し、土踏まずのところが平たくなる傾向がある、などの理由でハイカットの靴型装具を履いている児童・生徒がいます。
担任の先生が靴とかかわる場面はいくつかありますが、靴を履く保存や治療的な意味を問うこと臨床現場とくらべて、かなり薄いと感じています。
担任の教員として、靴を履く時のポイントを思いつくまま書いてみます。
【靴をはく時に見ているポイント】
①靴箱のどこに自分の靴があるか把握しているか
②脱いだ靴を自分の靴箱に戻せるか
③座って履くか、立ったまま履くか
④座ったとしたら、足を上げたりして、足部に手がとどくか
⑤着脱する間、足部を空間でとめたまま保持できるか
⑥左右の間違いなく履けるか
⑦左右の間違いに児童・生徒自身が気付けるか
⑧履き口に、べろ(タン)を踏み込まず足を入れることができるか
⑨足の甲の部分は何でとめるか。(ベルクロ、靴紐、チャック…?)
⑩足の甲の部分は履いた後に、フィットした状態にまでもっていけるか
⑪かかとが入っているか
【何を大事にするか】
担任の先生は、靴の着脱は登下校時の次に移行する手続きの一つと考えていることが多いと思われます。
複数の児童・生徒を引率して移動するとき、全員の安全を確保しながら、どこで靴を履くよう促すか、どこに支援が必要か見ています。
・重い靴は歩行時の安定性を確保する→④⑤でつまずくことがある
・靴底が高い靴は除圧のため→③など、立位・歩行時のバランスが悪くなり、階段は危険
・硬い素材を使って足部を安定させたい→⑧⑪でつまずくことがある
写真をご覧ください。よくあるタイプです。
おおまかに見ると、市販の靴と比べて、素材が硬め、ベルトをリバースする部分からベルトを抜いてしまうと戻せないかも、ベルトが金具から抜けないようリングなどがついているなぁ…と分かります。
【最近、少し不満に感じていること】
最近、少し不満に感じていることは、靴を作る人が足部を保護するなど整形外科的な価値に目がいきすぎて、運用面をおろそかにしているのではないか、という点です。
チェックアウトの場面では、歩く姿と、履いて足が理想的なポジションに収まっているか丹念に見ていますが、 靴箱から出して履くまで、脱いでから靴箱にいれるまで、どんな姿勢をとって履き、どこまで自分でできて、何に支援が必要なのか、スロープや階段の移動ではどうか、等の評価をやっているの?と思うことがあります。
足が靴の中で落ち着けばそれでよし、履くところは先生にお願いしようねと言われます。
担任としては、専門家が作ったものだし、足の状態が良くなるためにはそれくらい、と答えます。
しかし、靴の着脱はそれで完結しない学校生活の一部です。
https://magomago1.org/soundandmusictellthemwhattodo/
前回のブログ「3)特別支援学校で使える指導のヒント 音楽や音で見通しをもつ工夫」です。
https://magomago1.org/firstvisitspecialeducationschoolchecklist/
次のブログ、「6)特別支援学校で仕事をするとき確認すること~初めて特別支援学校で講師をするという先生に渡したチェック表」です。すみません、「5」は欠番になっています。