こんにちは、雑賀孫市です。
今回は、特別支援学校で行われている医療的ケア(医ケア)について書いていきます。
【医ケアとは】
肢体不自由の特別支援学校で、経管栄養やたんの吸引など、特定の医療的な行為をすることです。 子供の障害が重度・重複化するに従って、対象となる児童・生徒が多くなったことを受けて、教員が看護師についてもらいながら実施することになっています。
御存じの方もいらっしゃると思いますが、医療に必要な知識・技能を有していない者が医行為を行うことは本質的に危険な行為なので、医療に関する資格を有していない者が医行為を業として行うことは法律により禁止されています。
なので、看護師と適正な配置を、となるのですが、短期間のうちに配置することは難しいので、看護師を中心としながら看護師と教員とが連携・協力して実施する方式をやむを得ないがやっていきましょう、と始まったものです。
【教育ですが、医療的なことを子供のために】
なんだかモヤモヤしてきました?
私も医療から教育の分野にきて、すごく違和感があったところです。 OT(作業療法)もPT(理学療法)も医師の指示のもと治療を行うのに
学校では救急対応も十分でなく、〇〇しても大丈夫といったエビデンス(根拠)もないのに、心身の機能・構造も分からない先生たちが、徒手療法的なことや、歩行練習なんかを、複数の子供と同時進行で やってる…。
もう、信じられなくて、倒れそうになりました。
聞くと、「ううん、これはリハビリでなくて、教育だから。」
えええええーーーーーーーー言葉遊び炸裂してるーー。
「やらないと。保護者の期待を裏切ることになります。」
えええええーーーーーーー教育目標や手だては教員が考えるものじゃないの?
こんな感じでした。
話はちょっとずれましたが、
医療的ケアが実施されるという話がでてから、もちろん 賛否両論ありました。
A賛成意見
①学校に来ている子供がみんなと一緒に食事をとったり過ごしたりできる。
②保護者が望んでいる。
③教員と子供の信頼関係が深まるなどの教育的効果がある。
B反対意見
①医療的知識の乏しい教員が医療行為を行っていいのか。
②緊急時に対応できる環境ではないので実施すべきでない。
③事故があったら容赦なく訴えられたりすることがある。(萎縮医療的な考え方です)
当時の教員の自己防衛意識を示すものとして、平成20年度の東京都福利厚生事業団が案内した訴訟費用保険の資料があります。これによると、平成12年に加入者が約5500人だったものが、7年後の平成19年には3万700人に膨れ上がっており、全体的にみて、教育活動は善意だけでは成り立たないものと対応に走る危機感を抱く教員が増加したことが分かります。
【医療的ケアを実施するまでの研修】
所属することになった学部の中に医療的ケアが必要とする子供が在籍していた場合、給食前後の授業体制などを加味しながら、誰が医療的ケアを実施するか検討されます。 実施することになった教員は研修を受けます。
研修①講義8時間
研修②演習1時間 (①と②が第三号基本研修にあたる)
研修③実地研修(医師、看護師の指導のもと、対象となる子供に対して医療的ケアを実施)
これにより、特定の子供に対する、特定の行為が、看護師の協力のもと実施できることになり、 認定特定行為業務従事者認定証(省令別表第三号研修修了者)が発行されます。
【おまけ】
三号研修:喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろうまたは腸ろう・経鼻) の行為を特定の利用者に実施できるもの
二号研修:喀痰吸引(口腔内・鼻腔内)と経管栄養(胃ろうまたは腸ろう)を不特定多数の利用者に実施できる。
一号研修:喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろうまたは腸ろう・経鼻)の行為を不特定多数の利用者に実施できる。
https://magomago1.org/firststepformakinglessons/
前回のブログ「26)特別支援学校の授業づくり(初任の先生向け)」です。
https://magomago1.org/whenotbeateacher2020-01/
次のブログは、「28)作業療法士が特別支援学校の教員になったら、何が変わるか」です。
お金や仕事の内容など、少し具体的なことをかいてみました。