平成29年の資料より、全国にある1135校ある特別支援学校のうち、147校が知肢併置となっています。
今回は、知的障害部門が抱える課題について書いてみます。
①見通しがもてない
肢体不自由部門の児童生徒には、安全に介助をしたり、体調不良のときは動かさずに健康観察をしたりする必要があります。そのため、動く時間なのに動かないことになり、時間通りに活動を始めたい知的障害部門の児童生徒に見通しがなくなることがあります。
「待てない」のに「待たなければいけない」
仕方ない場合もありますが、肢体不自由部門の先生は「仕方ないじゃない」、「待ってくれて当然」ではなく、周囲に気を遣って連絡や調整を積極的に行うことが必要です。
②移動時の安全
急に走り出すこともありますし、曲がった先に誰が要るか分からないのでゆっくり曲がる、といったことが難しい児童生徒もいます。その先に車椅子があったりすると、ぶつかるかもしれません。
肢体不自由部門にいたときは、それも想定して誘導をしていました。
並び方をみて、導線を開けることが大事です。
③児童生徒数が増えている
知的部門の人数が増え、教室が足りなくなるケースが散見されます。
そのため図書館や会議室、倉庫などを教室に変え、肢体不自由部門の生活圏を圧迫するようになっています。
学校によっては、肢体不自由部門の移転も考えられますが、歴史的に医療機関との連携(近隣に学校を設定する)で健康と安全を担保してきた経緯があるので、簡単にはいきません。
現在ある特別支援学校を増設するにも敷地の確保や建蔽率などを守らないといけないなどの制限があり、簡単にはいかない事情があるのです。
【他にも、併置であるが故の大変さ】
保健室
医療的ケア、発作の有無、メンタルヘルス、ケンカも含めて、肢体不自由部門は質的に高い専門性が求められ、知的障害部門はとにかく人数が多いので、それをカバーする保健室の仕事は一層大変になります。
健康診断や検診になると、日程や順番をどうするか、毎年苦慮しています。
宿泊行事や外出する活動が多くなるので、準備や同行の負担が大きいです。
場所の確保
体育館、プール、玄関、とにかく1校なので、どこがいつ、その場所を使うのか全校的な調整が大変です。
【まとめ】
知的障害部門が抱える課題にも、「安全」がありました。
また、障害特性に応じた教育的配慮「見通しをもたせる」ことが難しくなることもあります。
学校として、共に学ぶということは、障害の多様性によるリスクの幅が広くなることを受け入れる、ということになり、指導するうえで複雑で細やかな配慮が必要になっています。
http://magomago1.org/problemintheshareworld202007/
前回のブログでは、「194)特別支援学校の知肢併置について①」について書きました。
http://magomago1.org/whichschooldoyouchoose202007/
次回は、「196)肢体不自由特別支援学校に入るには」について書いていきます。