こんにちは、雑賀孫市です。 
今日は、医療業界から教育業界に移ることについて、書いてみます。 
私がいたのは身障系の病院のリハビリテーション科で、 多くの作業療法士(OT)や理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)が務めている 環境と似たようなところです。 
今、客観的に振り返ってみると、特別支援学校の担任の仕事とどこが同じ点は…。 
・人と人がかかわる仕事 
・雇われ 
・医療的または教育的な立場上、管理されている場所 
・評価(どんな人か知る)して、どうするか考える仕事 
ぐらいではないでしょうか。 
特に専門分野は発達障害系のリハビリテーション技士でもなかったので、 「この子はこういう子なのかな」という見立ても入った当初はできませんでした。 
あるのは基礎医学の知識と、評価する方法論だけで、はじめから積み上げるという状態でした。 
もし、発達障害系にいたら、児童生徒の見立てはできても、かかわる環境のギャップがある分 苦しんだかもしれません。が、反対に知識や技能がある分、環境適応に意識を向けるだけで済んだのかもしれません。 

そう考えると、臨床でよく言われる「作業療法士として、どう考えるか」を強く意識する人ほど、苦しくなるかもと思います。なので、特別支援学校にかかわる技士が環境のギャップに苦しまずに、適応しながら仕事ができるにはどうすればいいか、が重要なテーマになると思うのです そこで、一つ課題設定して、相手の環境に寄り添うトレーニングをしてみましょう。
【例題1】
「沖縄にいる人が月を見ています。北海道にいる人が月を見ています。お互い感じた月の良さを共有してみましょう。」 
これでいきたいと思います。 
同じところ 
・見る主体は人間で、見る対象は月という点は同じです。 
・同じ日本にいる人なので、標準語を使えば会話はできるでしょう。 
違うところ 
・言葉(発音や方言) 
・気候 ・寒暖からくる人柄の違い(あるのかな?) 
・北海道と沖縄の歴史的背景 
・空気の透明度(大気汚染含む) 
・月を見たときにいた場所の違い(砂浜?高台?家の中?) 
・月を見たときに誰といたか 
・個人の価値観 ・職業観 

すんなり「丸くて、かわいいね」が共有されるかもしれないし、 
「そんな安易な感想なんて意味がない!地球との距離や角度からきちんと捉えないなんて!」 
と一方が怒り出すかもしれません。 
なので、「まずは相手の思いを聞いてみる、それを聞いてすりあわせる」や、 「違う場所のことを考えても想像しかないので、そっちに行くわ~」もありでしょう。 
違う職種同士で連携する、共有する方法は、どうやら一つではなさそうです。 
【例題2】
「あなたは小児の理学療法士です。リハ室に一人ずつ子どもを迎えて、熱心に仕事をしています。が、方針が一転して、普段見ている子どもを3人まとめて治療することになりました。どうしますか?」
現役のリハビリテーション技士の方や、見学などをしたことがある学生さんでしたら、経験したことをつながる部分があるので、想像しやすいかもしれません。」
 一人に向けられる注意は分散し、一人にかかわると他の子どもはフリーになります。 
叩いちゃう子がいたら、手をつなぐか、子ども同士の間に入るか考えなければいけませんね。 
リハ室から飛び出そうとしていますよ、どうしますか? 
どこにいたらいいか分からなくて、歩き回っていますよ、どうしますか? 

これが学校を知る第一歩(?)です。 
対象となる子ども3人組を入れ替えてみるのも楽しいですよ。 
複数対応は、学校の教員の文化に色濃く影響しています。 
そこに教育要領や指導要領、他の教員や保護者との関係、仕事の進め方の違いなどがからんできます。 
【追記】 
学校に入ってこうだった!これが学校の文化なの?とエピソードに翻弄されるかもしれませんが、 それに振り回されず、相手の環境を把握して、自分に置き換えたら分かることがあります。 
そのうえで、自分の専門性や価値観のどこを残して、どこを変化させて、どこを入れ換えたらいいか区別をつけると、もっと共感的な対話ができるのかな、と思います。 
https://magomago1.org/asessmentforcreatelife202003/
前回のブログは「58)元作業療法士の担任の先生より 特別支援学校の高等部卒後の生活に向けたアセスメント」でした。
https://magomago1.org/realneedsspecialeducation202003/
次は、60)特別支援にかかわる作業療法士の役割は、学校生活のデザインを支援すること」になります。
